第12回中国(上海)国際多国籍調達大会の会場では、3階と4階の展示ホールが日本企業専用のコーナーになっている。今大会の展示招致責任者を務める日本中小企業在中国ビジネスセンターの兪ショウ副会長が述べたところによると、今年は600社を超える日本企業が出展し、昨年の400社をはるかに上回るとともに、主催者側の予想も大幅に上回ったという。「国際商報」が伝えた。
▽中日貿易は温度やや低下
中国の8月の輸出入は予想より好調だったが、中日二国間貿易は前年同月比5.7%減少した。日本貿易振興機構(JETRO)の予測によると、今年の中日間貿易額も前年に比べて低下し、日本の対中貿易額は赤字記録を更新する可能性があるという。
上海輸出商品企業協会の馮鄭州会長の分析によると、絶対額をみれば、中日間の貿易往来は確かに温度が下がっている。主な原因は円安と中日関係の低迷だという。投資方面にも低下傾向が現れている。JETROが発表したデータからも、今年上半期に日本の対中直接投資は前年同期比31.1%減少したが、同期の東南アジア諸国連合(ASEAN)への直接投資は対中直接投資額の2倍以上になったことがわかる。
上海邁伊茲諮詢有限公司は主として会計、税務、人事などの業務コンサルタントを手がけ、中国の顧客1800社のうち99.9%は在中国の日系企業だ。池田博義董事長(会長)によると、多くの在中国日系企業とやりとりする中で、こうした企業の数が確かに減少していることがわかった。主に2つの原因があり、1つは中日関係の影響を受けて、一部の日系企業が中国市場への投資に様子見の態度を取っていること。もう1つは中国の製造業コストが上昇し、日本の製造業企業の多くがより低い労働力コストの国へ移転するようになったことだ。後者が最も根本的な原因であり、中国市場を撤退した日系企業にとってみれば、主要因はやはり経営で困難にぶつかったことだ、という。
▽日系企業が大挙して中国での商機を模索
中日間経済貿易の各種統計データから「冷え込み」が伝わってくるため、兪副会長は今回の大会の展示企業招致に当たり心の中で懸念を抱いていた。中日関係が敏感な時期だったため、招致が不成功に終わるのではないかと心配していた。ところが蓋を開けてみれば、1カ月ほどで日系企業600社が集まった。たくさんの日系企業が非常に真剣に準備作業を行い、各社の製品と技術を携えて、中国の協力パートナーを探しにきたという。
日本の三大重工業グループの一つである株式会社IHIは、グループの全企業を集めて今大会に参加し、中国市場への高い関心を示した。同社調達部門の柴宮義明部長の説明によると、2012年に同グループが中国で調達した金額は40億元で、今年は調達量をさらに拡大したい考えだという。
IHI関連会社の長春富奥石川島増圧器有限公司調達部門の王宏剣副部長によると、今回の多国籍調達大会の場を借りて、まず適切な中国のサプライヤー2-3社を確定し、それから詳しい話を進めるという。世達爾現代農機有限公司の香川譲司顧問によると、現在、同社の機器に採用する部品は100%中国で生産されたものだという。別の展示企業である山洋電気株式会社資材調達本部の成瀬素一郎副本部長は、「現在、同社が生産する製品のうち、60%の部品は中国のサプライヤーが提供したもので、今後はこの比率をもっと高めたいと考えている」と話す。
大挙して押し寄せる熱意溢れる日本の調達企業に対し、中国のサプライヤーも主体的に対応している。自動車部品企業のチームを組織した上海市にある嘉地瑞�脈自動車部品公司の張�脈総経理(社長)は、「まず調達の意思がある日系企業数社とじっくり話し合った。今では対外貿易企業が注文を勝ち取るのは容易なことではなく、調達大会は交流を取引に発展させ、握手を提携へと発展させてくれるものだ」と話す。
こうした企業の声からうかがえるのは、ミクロ的側面では中日経済貿易関係は人々が思うほど冷え込んではいないということだ。馮会長によると、中日の産業構造は高い相互補完性をもち、日本は中国経済に大きく依存している。中国には産業集積の効果があり、巨大な市場がある。日本企業が中国市場を放棄しようとしても、それは基本的に無理なことだという。