ーー清算のプロセスについて
今回は、中国における外商投資企業の清算のプロセスについて、ご説明いたします。
1.外商投資企業の清算手続に関する法制度の沿革
外商投資企業の清算手続に関しては、その拠り所として旧対外貿易合作部(現商務部)が1996年6月15日に公布した「外商投資企業清算弁法」(以下、「清算弁法」という)に沿って手続きが行われていました。この清算弁法は、外商投資企業の清算手続を普通清算と特別清算に分け、清算委員会の構成、債権者への通知方法、債務債権の処理方法などを定め、それぞれの清算のプロセスについて、比較的綿密に規定を定めています。しかし、2008年1月15日、中央政府国務院が内資企業と外商投資企業の管理方法を統一するため、外商投資企業のみの適用を前提としたこの清算弁法を廃止しました。
清算弁法が廃止された結果、外商投資企業を清算する際に、「会社法」、「企業登記管理条例」、「中外合弁経営企業法」等のいわゆる三資企業法に従うことになるしか方法はなく、これらの法律における外商投資企業の清算手続に関する規定は極めて抽象的で、実際にどのように清算手続きを進めるべきなのか、審査認可機関の事前承認の必要性の有無など、各地の審査認可機関と企業登記機関での対応が異なるために、実際の実務では混乱が多々見受けられました。
これを受けて、商務部弁公庁は2008年5月5日に、「法により外商投資企業の解散および清算作業の実施に関する指導意見」(以下、「指導意見」という)を公布し、外商投資企業の解散事由および審査認可機関の認可取得状況、必要な申請書類等を定めました。しかし指導意見はあくまで商務部が発行したものにすぎず、審査認可機関では適用されるものの、企業登記機関である工商行政管理機関では、依然として具体的な規定がないために混乱が続きました。
この問題を解決するため、商務部と国家工商行政管理局は、2008年10月20日に共同で「外商投資企業解散抹消登記管理に関わる問題に関する通知」(以下、「226号通知」という)を公布し、ここで改めて外商投資企業の清算および登記抹消の具体的なプロセスを規定したのです。