大学を卒業して4年目となる劉彤(女性)さんの朝は毎日とてもあわただしい。7時半に起床。前の日に作ったご飯を鞄に入れて、急いで自転車に乗って会社に行く。仕事は8時半から始まる。中部の農村出身の劉さんは、4環地区の外側に10平米の部屋を借りて住んでいる。家賃は月1000元。応接間はなく、狭い通路があるだけ。ネットで知り合った二人の女性とルームシェアしている。
こうした彼女の生活は、北京に90万人いるとされる青年流動大学卒業生(地方戸籍の大卒者)の典型である。共青団北京市委員会が行ったある調査によると、彼らの85.1%が借家住まいであり、77%の人は住宅環境がよくないと答えている。かつて「蟻族」と命名された人たちでもある。
しかしそうした環境にも関わらず彼らの多くは、北京で奮闘を続けている。北京での生活が彼らの夢の実現を手助けし、多くの若者に可能性を与えるからである。会社勤めより起業に意欲2007年に本科大学を卒業し、北京で生活を始めた靳凡さん(男性)は、一旦は会社に勤めたものの、今は自分でインターネット関係の仕事をしている。
「北京に来たのは、インターネットの仕事に興味があり、北京がその先端を走っていたためです。最初はネット関係の会社に入社し、ハイテク分野の資料を作っていました」彼の住まいは南5環地区にあり家賃は270元。ベッド、テーブル、レンジがひとつずつ。冬は水道も暖房もなく、炊事や洗濯は外でしなければならない。通勤はバスと地下鉄。帰りの地下鉄では寝過すこともしばしばあった。